輪島塗 〜日本の美を代表する漆器〜

輪島塗(わじまぬり)

石川県
経済産業大臣指定伝統的工芸品
日本の漆塗りの歴史は古く、縄文時代早期(約9,000年前)の漆塗りの遺物が発見されています。北陸では石川県七尾市の三引遺跡や福井県の鳥浜貝塚で縄文時代前期(約6,000年前)の漆塗りの櫛が発掘されました。
輪島市にある「重蔵神社(じゅうぞうじんじゃ)」には室町時代に作られた朱塗りの扉が現存し、これが最古の「輪島塗」といわれています。
「輪島塗」の起源は、弥生時代早期(約1,000年前)に中国大陸から伝わったという説、室町時代に紀伊国(和歌山県)の根来寺(ねごろじ)の僧が伝えた根来塗(ねごろぬり)が元になったという説、石川県の合鹿地方で作られていた合鹿碗(ごうろくわん)が元になったという説……等々があり、はっきりと分かっていません。
そして1660年頃、輪島塗の特徴である「輪島地の粉(わじまぢのこ)」を使う技法が生まれました。「輪島地の粉」とは、能登半島のみで産出する「珪藻土」を蒸し焼きにし粉末にしたもので、漆に混ぜて下塗りに使うことでとても丈夫な漆器になります。
「輪島塗」の製作の工程は、まず燻煙乾燥させた原木をさらに1年間寝かせ、漆器の元となる木製品を加工する「木地作り」から始まります。
その「木地」の破損しやすい縁や接合部などを補強ため、布を漆で貼る「布着せ」を施します。次に「輪島地の粉」を混ぜた生漆を塗って磨く「下塗り」です。この部分は完成した製品からは見ることができない部分なのですが、日用品として永く使えるようにするためには重要な部分です。
その後ゴミやキズを丁寧に取り除きながら再び漆を塗り重ね磨いて表面を滑らかにする「中塗り」、そして仕上げの漆塗りと艶を出す磨きの「上塗り」によって、漆の美しさを最大限に引き出します。
漆塗りが完成すると、沈金(ちんきん)※1 や蒔絵(まきえ)※2などの優美で繊細な図柄を装飾として施し、美麗な「輪島塗」は完成します。
こうして7〜8人のそれぞれの専門の職人が、都合120工程余りの手間暇をかけて「輪島塗」は完成します。
輪島塗が大きく発展したのには、漆器製品を扱う塗師屋(ぬしや)の存在が大きかったそうです。塗師屋は、大名や豪商の元へ出向きただ売るだけではなく、デザインから品質管理・修繕まで手がけていました。
また北前船によって日本国各地へと運ばれ、丈夫で美しい「輪島塗」の名がますます知れ渡りました。
遠くヨーロッパまで渡っていった漆器が「japan」と呼ばれようになり、ヨーロッパ美術にも大きな影響を及ぼした漆塗りは、今日「和」を感じさせる素材として海外から再評価されているようです。
そして現在、漆塗りは旧来の食器や調度品だけでなく、アクセサリーや文房具など新しい素材にも広がっています。
「輪島塗」もまた、新たな技術を取り入れたり他分野のデザイナーとコラボレーション作品を発表するなど、伝統の技術を継承しながら進化しつづけています。

1975年(昭和50年)5月10日、通商産業省(現 経済産業省)により伝統的工芸品に指定されました。
※1 沈金:漆器の表面(漆の層)を彫刻し、彫った溝に漆をすり込んでから金粉や金箔などで埋める技法。室町時代に中国から伝わった鎗金(そうきん)の技法を元に、1700年代に輪島で発展しました。
※2 蒔絵:漆器の表面に漆で図柄を描き、乾かないうちに金粉などを振って定着させる技法。輪島には1800年代に会津からその技法が伝わりました。

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